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2009年10月25日 (日曜日)

東方竹取物語考察 8:難題「蓬莱の玉の枝」後編

■東方竹取物語考察:目次
 http://september.moe-nifty.com/kikyo/2009/05/post-f11c.html

■難題「蓬莱の玉の枝」(藤原不比等)  の続き

 油断した隙に?一ヶ月も間が開いてしまいましたが、難題「蓬莱の玉の枝」の後編です。


 前回の記事でご紹介した通り、藤原氏繁栄の基礎を築いた偉人、藤原不比等。彼がついに、輝夜姫の難題に挑みます。

 彼に対して、輝夜姫もとびきりの難題を用意していました。
 ……そして、不比等も他の人々とはひと味違う対策を準備していたのです。

 藤原不比等に輝夜姫が出した難題が……「蓬莱の玉の枝」です。

 そもそも、「蓬莱の玉の枝」とは何なのか?
 原文によると「東の海にある『蓬莱山』に存在する、根は白銀、茎は黄金、実は白玉(真珠)でできている木の枝」の事です。ものすごく豪華ですね。
 名字が「蓬莱山」だったり、(永夜返しは別にして)スペルカードの締めが蓬莱の弾の枝だったりと、彼女がこのアイテムに並々ならぬ愛着を持っていたのは間違いない所でしょう。一番の大物である不比等に出題したことからも、蓬莱の玉の枝が最高の難易度である事がうかがえます。
 ……が、その「最高の難易度」は、不比等が馬鹿正直に蓬莱山まで枝を取りに行ったらの話です。勿論、彼はそんな事はせず、別の手段で「蓬莱の玉の枝」を用意する事にしました。
 過去にも、偽物を渡そうとしたり(仏の御石の鉢)商人から買ったり(火鼠の皮衣)と不正な手段に出た挑戦者はいました。彼らとは違い、不比等は……不正な手段には違いないのですが……別の意味では正面突破とも言える作戦を採ります。
 つまり……「自作する」。
 他の難題の様なマジックアイテム系?とは異なり、良く考えれば、材料である白銀、金、真珠は財力さえあれば入手が可能なものばかりです。そして、不比等にはその財力がありました。

 まず、朝廷に「湯治のため筑紫まで行って来ます」と願い出て休暇を取ります。その一方で輝夜姫には「今から玉の枝を取りに行ってきます」と使者を送りました。
 で、本人はごく一部の側近のみを連れて密かに浪速に移動。簡単に人が近づけない場所に工房を設置し、当時最高水準の技術者六名を呼び寄せました。情報が外に漏れないように厳重に封鎖した上で、巨額の財産をつぎ込んで「蓬莱の玉の枝」を作成します。
 その結果……ついに、輝夜姫の注文通り「根は白銀、茎は黄金、実は白玉(真珠)でできている木の枝」が完成しました。

 こうして自作の「蓬莱の玉の枝」を手にした不比等は、あたかも苦労して船で帰ってきたかの様に装いながら再び難波の地に姿を現します。そして、長櫃に入れて輝夜姫の元にやってきます。
 彼が何かすごい宝物を入手した事は噂として広がり「不比等が優曇華の花を持って来るらしい」と大騒ぎになります(何でここで優曇華の花が出て来るのかは別途記事参照)。この噂を耳にした輝夜姫はこれはまずい、と胸がつぶれるほど不安になります。
(つまり、少なくともこの時期には彼女は「蓬莱の玉の枝」を偽物だと見破るような特殊能力は無かった事になります。偽物を見破った「仏の御石の鉢」とは矛盾することになりますが……)

 そして、ついに輝夜姫の所までやってきた不比等。彼は完全に勝ちを確信しており、勝手に部屋の中まで入って来ました。
 本来なら無礼を咎めるべき竹取翁も「蓬莱の玉の枝」の実物を見て、「難題をクリアした彼が輝夜姫を妻に迎えるのだから彼の行動はもっともだ」と納得する始末。更に、憮然としている輝夜姫を後目に、寝室を整え始めました。
(本文にも「翁は閨の内しつらひなどす」と書かれているのですよ……)

 不比等は、ふてくされる輝夜姫。そして横でせっせと閨の準備を始める竹取翁を前に、蕩々と如何に「蓬莱の玉の枝」を入手したのか、武勇伝(勿論嘘)を話し始めます。
 ここでは省略しますが、この「武勇伝」、やたら長いです。ここまで4人の挑戦者の難題話を書いてきましたが、一人分すっぽり入るほど長いです。それだけに本当っぽく聞こえたのか竹取翁は感動。不比等と和歌を歌い始める始末です。
 そんな感じで、ついに難題をクリアした?藤原不比等。竹取翁は最早不比等の味方。月の使いが助けに来るのはもっと後の話です。輝夜姫はこのまま彼の側室に、もこたんの義母になってしまうのでしょうか?

 数々の難題で貴族達を撃退してきた輝夜姫が、最後の一人、藤原不比等を前に、ついに迎えた最大のピンチ。
 輝夜姫は何とかして、この場を逃れることは出来るのか?
 それとも、不比等の妻になってしまうのか?
 そして、翁がしつらえた「閨」は使われる事となるのでしょうか? 助けてえーりん!

 ……と、最大の山場を迎えた最後の難題ですが、意外な形の結末が待っていました。

 その時に、不意に庭に入ってきた六名の男達。彼らによって不比等の野望はあっさりと打ち砕かれます。
 彼らは、不比等に「給料をくれ」と主張。そう……彼らは「蓬莱の玉の枝」を製作した職人たちだったのです。千日間(製作に約3年掛かっているらしい…)も頑張ったのに不比等は彼らに報酬を払っていなかったのです。不比等が側室(予定)の輝夜姫にプレゼントするために「蓬莱の玉の枝」を作っていたと知った職人たちは、ここなら払って貰えるだろうと、輝夜姫のところまでやってきたのです。

 余りにもお粗末な理由で偽造が発覚。横で真っ白になっている不比等。そして騙されていた事を恥じて寝たふりをする竹取翁をよそに、輝夜姫は大喜び。不比等の代わりに、職人達に沢山ご褒美を出してあげました。
 そして当然、偽物と判った「蓬莱の玉の枝」は返品。不比等も失格となりました。
 不比等は気まずい中でも帰るに帰れず、輝夜姫の生暖かい視線に晒されながら夜まで待ち、暗くなってからこっそりと帰宅。更に帰り際に先ほどの職人たちを殴り倒し、先ほど輝夜姫が与えたご褒美を没収という大人げない行動に出ます。その後は今回の事件を恥じて、何年も公式の場に姿を見せませんでした……。
 これが、藤原不比等が挑んだ「蓬莱の玉の枝」の顛末となります。

 その後の東方的な展開は皆様もご存じの通り。
 父親が恥をかかされた妹紅。まあ、今回の話を見ると自業自得だったのでは、ケチらずに給料を払ってれば騙し通せていたのでは…、とか思いますが……。
 ともあれ、妹紅はその後復讐の機会を狙い、輝夜が姿を消した後に調岩笠(月のいはかさ)を殺害、蓬莱の薬を入手する事になります。
 そして、輝夜は月の使いと共にやってきた永琳と共に姿を消し、長い年月の後に永夜事件を起こすことになります……。

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